ゲーム概要

『Mad Max』は Avalanche Studios が開発し、Warner Bros. Games が2015年9月1日に発売した三人称視点のオープンワールドアクションです。プレイヤーは愛車を奪われた主人公マックスとなり、砂に埋もれた終末世界で「もう一度、自分の車を組み上げる」という一点に向かって行動します。相棒はマグナム・オーパスと呼ばれる自作車と、その整備を担うせむしの機械工チャムバケット。物語は復讐劇として始まりますが、実際のプレイの大半は「地域の脅威を下げ、資源を確保し、車を強くする」という循環で構成されています。

このゲームを一言で表すなら、主人公はマックスではなく車です。移動も戦闘も探索も車が中心で、徒歩パートは車から降りて拠点に押し入る時の付随作業に近い比重になっています。したがって「運転が楽しいと感じられるか」が、そのまま最後まで遊べるかどうかの分かれ目になります。

特徴・システム

中核はマグナム・オーパスの改造です。エンジン、ブースト、車体装甲、ラム(体当たり用の突起)、ハープーン(銛)、サイドバースト、タイヤ、塗装まで細かく組み替えられ、しかも各パーツはトレードオフを持っています。装甲を厚くすれば重くなって加速が鈍り、軽量化すれば速いが接触で削られる。装備を全部盛りにできない設計なので、自分の走り方に合わせて構成を決めることになります。

もうひとつの柱がハープーンです。敵車のタイヤやドライバー、拠点の門や見張り塔、地雷原の柵などをワイヤーで引き剥がす動作が、戦闘と攻略の両方で使われます。敵の護送車列(コンボイ)を追い、ドライバーを引きずり出して奪う一連の流れは本作でもっとも作り込まれた部分で、ここが刺されば長く遊べます。

地上戦は近接主体のリズム型で、攻撃と受け流し(カウンター)、回避を組み合わせる方式です。フューリー状態に入ると一撃の重みが変わり、乱戦の処理が一気に楽になります。銃弾は極端に貴重な資源として扱われるため、シューターとしてではなく殴り合いとして設計されている点は好みが分かれるところです。

地域ごとに「脅威レベル」という指標があり、キャンプ制圧、狙撃手の排除、案山子(スケアクロウ)の破壊、油田の奪還といった行動で下げていきます。脅威が下がるとその地域での襲撃が減り、拠点が資源を自動生産するようになります。強化素材であるスクラップは探索と破壊から集まり、キャラクター側の永続強化はグリファという放浪者を通じて行います。ジート、ガットガッシュ、ピンクアイ、ディープ・フライアといった拠点ごとに提供される恩恵(水、燃料、弾薬など)が異なるため、どの拠点から立て直すかで序盤の楽さが変わります。

環境そのものも敵役です。水と燃料は消耗品として管理する必要があり、砂嵐に巻き込まれれば視界を失いながら飛来物をよける羽目になります。荒野を走っているだけで緊張感が続くのは、この資源管理と天候演出によるところが大きいです。

動作環境の目安

公式に示されている最低動作環境は 64bit 版 Windows(Vista / 7 / 8 / 10 と記載)、CPU が Intel Core i5-650 3.2GHz または AMD Phenom II X4 965 3.4GHz、GPU が NVIDIA GeForce GTX 660 Ti(2GB 以上)または AMD Radeon HD 7870(2GB 以上)、メモリ 6GB、ストレージ 32GB、DirectX 11 です。推奨環境は CPU が Intel Core i7-3770 3.4GHz または AMD FX-8350 4.0GHz、GPU が GeForce GTX 760(3GB 以上)または Radeon HD 7970(3GB 以上)、メモリ 8GB、ストレージは同じく 32GB とされています。

この数字は2015年当時の基準なので、現在の視点で読み替えるのが実用的です。推奨に挙がっている GTX 760 は VRAM 3GB クラスであり、現行世代のエントリーGPUや、統合GPUでも上位のもの(近年のノート向け APU クラス)であれば、フルHD で設定を詰めれば十分に射程内という理解でよいでしょう。中位以上のデスクトップ GPU を積んでいるなら、解像度や描画設定の心配より、フレームレート上限や垂直同期の設定を確認する方が実際的です。

注意したいのは、メモリとストレージです。推奨が 8GB なのは当時の基準であり、現在は常駐アプリやブラウザを開いたまま遊ぶのが普通なので、16GB あると余裕が生まれます。ストレージは 32GB 必要と明記されているので、SSD の空き容量は事前に確認してください。広大な荒野をシームレスに走り続けるタイプのゲームなので、HDD よりも SSD の方がロードと読み込み待ちのストレスが明確に減ります。

OS 表記に Vista や Windows 7 が残っているのは発売当時の記載がそのまま維持されているためで、64bit であることが実質的な条件です。DirectX 11 世代のタイトルなので、DirectX 12 専用機能を期待する構成ではありません。またコントローラー対応(PlayStation 4 コントローラーのサポートが明記)があり、車の操作が中心である以上、アナログトリガーが使えるゲームパッドの方が快適に遊べます。キーボードとマウスでも遊べますが、アクセルとブレーキの微調整はパッドに分があります。

評価・レビュー傾向

発売から長い年月が経った今も、ユーザーからの評価は総じて高い水準を保っています。称賛が集まりやすいのは、荒野の空気感と天候表現、そして車両戦闘の手応えです。ハープーンで敵車を解体する感触や、コンボイを追い詰めるときの緊張感は、同種のオープンワールドの中でも独自性が高いと評されがちです。映画由来の世界観を、ライセンス作品にありがちな薄さに落とさず、砂と錆の質感として作り込んだ点も繰り返し挙げられます。最適化の良さ、つまり比較的軽く動くという指摘も定番です。

一方で否定的な意見の中心はほぼ一点に集約されます。「同じことの繰り返しが多い」という指摘です。キャンプ制圧や脅威レベル下げの構造がマップ全域で反復されるため、収集と制圧が目的化してくると単調に感じられます。徒歩戦闘が単純すぎるという声、ストーリーの起伏が控えめだという声も定番です。つまり評価の分かれ目は品質そのものではなく、反復に耐えられるかどうかという相性の問題です。

こんな人におすすめ

車の運転と改造そのものが目的になる人、荒涼とした風景を眺めながら長時間走っていられる人には強く勝ちます。オープンワールドの「やること一覧」を淡々と潰していくのが好きな人、シングルプレイに集中して数十時間を消費したい人にも向きます。マッドマックス的な世界観、つまり水と燃料が通貨になる終末世界の空気を味わいたい人にとっては、映画の副読本としても機能します。

車両戦闘という切り口では、都市部での運転が中心の『グランド・セフト・オートIV』や、拠点制圧と敵勢力の構造を持つ『中つ国:シャドウ・オブ・ウォー』あたりと比べると、本作の性格がはっきりします。前者は街の密度、後者は敵individualityの作り込みが強みで、本作は「荒野の走行体験」に全振りしています。

序盤の進め方

最初にやるべきは、脅威レベルを下げられる範囲から順に片付けることです。序盤は装甲もエンジンも貧弱なので、無理に強い地域へ踏み込むと車ごと壊されます。ジートの拠点を機能させると水の供給が安定し、体力回復の不安が減るため、最初の数時間の難易度が目に見えて下がります。

スクラップは車の改造とキャラ強化の両方に必要ですが、序盤はエンジンとラム、そしてハープーンの解放を優先すると探索効率が上がります。ハープーンが使えるようになると、それまで手が出せなかった門や見張り塔を開けられるようになり、行ける場所と回収できる資源が一気に広がるためです。逆に塗装やニトロの強化は後回しで問題ありません。

燃料タンクの携行と、拠点で補給する習慣は早めに付けておくと安全です。遠征先でガス欠になると、徒歩で敵地を横断するという最も危険な状況に陥ります。

注意点・向かない人

最大の注意点は、進行の大半が同型のタスクの反復であることです。地域ごとにキャンプを潰し、脅威を下げ、資源を集めるという構造が最後まで続きます。オープンワールドのアイコン埋め作業に飽きやすい人、ストーリーの推進力で遊ぶタイプの人には、中盤で失速して見える可能性が高いです。全収集を目指すと相当な時間を要するので、「本編だけ追って終わる」という遊び方を最初から決めておくのも有効です。

徒歩戦闘に多くを期待しない方がよいのも確かです。カウンター中心の設計は分かりやすい反面、深いコンボや装備ビルドのような広がりはありません。銃火器を主軸にした撃ち合いを求める人には物足りないでしょう。

マルチプレイを期待している場合も対象外です。本作は完全なシングルプレイ作品で、オンライン機能は2020年10月31日に終了しています。ランキングなど当時のオンライン連動要素は現在利用できません。

言語については、ストアの記載上は日本語を含む複数言語に対応しています。ただし対応の範囲(字幕のみか音声も含むか)は言語ごとに異なることがあるため、購入前にストアページの言語欄を必ず確認してください。同様に、ストアページの登録情報は後から変更されることがあるので、動作環境や対応言語は購入時点の表示を最終的な根拠としてください。

最後に、映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の映像的興奮をそのまま追体験するつもりで買うと、印象が食い違うかもしれません。本作は映画の一場面を切り取ったスペクタクルではなく、静かな荒野を長く走り、少しずつ車を仕上げていくゲームです。その時間の使い方に納得できるかどうかが、最終的な満足度を決めます。