ゲーム概要

『グランド・セフト・オートIV:コンプリート・エディション』は、Rockstar North と Rockstar Toronto が開発し Rockstar Games が販売するオープンワールド・アクションです。Steam のこのパッケージは 2020年3月24日 に配信が始まったもので、本編と 2 本のエピソード「The Lost and Damned」「The Ballad of Gay Tony」(合わせて Episodes from Liberty City)が 1 つにまとまっています。舞台はニューヨークをモデルにした架空都市リバティシティです。

実際のプレイは、派手なアクションよりも「都市生活のシミュレーション」に近い手触りから始まります。東欧から渡ってきたニコ・ベリックが従兄のロマンを頼ってリバティシティに着き、携帯電話に仕事の連絡が入る、車を出して指定地点まで走る、そこで撃ち合いか追跡が起き、報酬と人間関係が少しずつ変わる——この繰り返しが軸です。移動時間そのものが体験の一部として設計されているため、ファストトラベル前提の現代的なオープンワールドとはテンポが違います。

携帯電話がハブになっているのも本作の特徴です。ミッションの受注、友人からの遊びの誘い、デートの約束、タクシーの呼び出しまで電話一つで処理します。友人との付き合いを続けると特典(バックアップの傭兵、車の手配、賄賂で手配度を消すなど)が解放されるため、寄り道が完全な無駄になりません。

3 人の主人公と「1 本で 3 本ぶん」の構成

コンプリート・エディションの最大の意味は、同じ時期のリバティシティを 3 つの視点から見られることです。

パート 主人公 立ち位置 プレイ感
本編 GTA IV ニコ・ベリック 移民として街に来た元兵士 重厚な犯罪ドラマ。最も長く、最も落ち着いたテンポ
The Lost and Damned ジョニー・クレビッツ バイカーギャング The Lost の副リーダー バイク走行とギャング抗争が中心。集団戦が多い
The Ballad of Gay Tony ルイス・ロペス ナイトクラブ経営者トニーの右腕 最も派手。パラシュート、ヘリ、爆発物が増える

3 本は独立したセーブで進められ、時間軸は重なっています。本編で「遠くで起きていた事件」が、別のエピソードでは自分が当事者だった、という交差の作り方が本作の醍醐味です。順番としては 本編 → The Lost and Damned → The Ballad of Gay Tony が素直です。本編を先に終えておくと、残り 2 本で登場人物や事件の背景が分かった状態で遊べます。

ただし、テンポの好みで選ぶなら順番を変えても構いません。本編の序盤(車で街を走り、友人と付き合い、少額の仕事を重ねる)が退屈に感じるタイプの人は、The Ballad of Gay Tony から始めた方が離脱しにくいでしょう。エピソード側は最初から装備も舞台も派手です。

特徴・システム

車両の挙動が独特です。 本作の車はサスペンションの沈み込みや荷重移動が強く表現されていて、後年の GTA V よりも明確に「重い」「滑る」動きをします。これを長所と取るか短所と取るかで評価が割れる部分で、慣れるまではカーブでの減速を早めに取る必要があります。逆に慣れると、車ごとの性格差が体感できるようになります。

人体の物理演算(Euphoria) も本作を特徴づけています。撃たれた相手が状況に応じて転倒したり、手すりに掴まったり、車に轢かれて転がったりする挙動が毎回微妙に違います。同じ場面を繰り返しても絵が完全には一致しないため、事故やクラッシュそのものが遊びとして成立します。

戦闘はカバーベースの三人称シューターです。壁に張り付いてブラインドファイア、ロックオンを併用しながら詰める、という設計で、フリーエイム主体の現代のシューターとは操作感が異なります。エイムアシストの強さは設定で調整できるので、最初はロックオン寄り、慣れたらフリーエイムに寄せるのが無難です。

手配度は円で表示されます。 警察に見つかると地図上に捜索円が現れ、その円の外に出て一定時間見つからなければ解除されます。GTA V のように「単に逃げ切る」のではなく、円の中心から離れる/円の再配置を読む、という追跡ゲームになっているのが本作固有の緊張感です。

動作環境の目安

Steam ストアに記載されている最低動作環境は次のとおりです。

項目 最低動作環境
OS Windows 10(64-bit)
CPU Intel Core 2 Duo 1.8GHz / AMD Athlon X2 64 2.4GHz
GPU 256MB Nvidia 7900 / 256MB ATI X1900
メモリ 1.5GB
ストレージ 22GB
DirectX DirectX 9.0c 対応カード

CPU が Core 2 Duo、GPU が 256MB VRAM 世代という時点で分かるとおり、要求そのものは現行 PC の水準から見て極めて低い部類です。今の内蔵 GPU 搭載ノート PC でも最低ラインは楽に超えます。メモリ 1.5GB という表記も、8GB 以上が当たり前の現在では実質的な制約になりません。ストレージ 22GB は本編+エピソード込みの容量なので、インストール先の空き容量だけは事前に確認してください。

注意したいのは、このスペック表が「快適に動く」ことを保証しない点です。本作のエンジンは 2008 年当時のもので、描画距離や影の処理が CPU のシングルスレッド性能に強く依存する傾向があります。そのため GPU を強化してもフレームレートが伸びにくく、逆に最新世代の CPU なら古い設計のまま高いフレームレートが出る、という偏った挙動になりがちです。高性能 GPU を積んでいるのに設定を上げると重い、という状況が起きても故障ではありません。設定では「描画距離」と「詳細距離」が特に負荷に効くので、フレームレートが足りないときはここから下げるのが定石です。

なお、今回参照したデータには推奨動作環境の記載がありません。推奨値を知りたい場合は Steam のストアページを直接確認してください。

評価・レビュー傾向

配信開始から長い期間が経っていますが、本作は総じて高い評価を保ち続けているタイトルです。数値は日々動くため、最新のユーザー評価は記事内の評価パネルか Steam ストアの表示を確認してください。傾向として、書かれがちな内容は以下のように分かれます。

肯定的に語られやすい点

  • 移民として街に来た主人公の視点で描かれる脚本の密度。シリーズの中でも最もトーンが暗く、真面目な犯罪ドラマとして評価されています。
  • 街の作り込み。歩行者の会話、ラジオ番組、テレビ番組、ネットカフェの偽サイトなど、メインの筋と関係のない部分の物量が異常に多いこと。
  • 物理演算による予測不能なアクシデント。追跡中の事故が毎回違う絵になる点。

否定的に語られやすい点

  • PC 版の安定性とフレームレート。古いエンジン由来の挙動に起因する不満は現在でも定番の指摘です。
  • 車の挙動と重さ。GTA V から入った人ほど「思ったところで曲がらない」と感じやすい部分です。
  • 携帯電話での友人付き合いなど、テンポを落とす要素。エピソード側では軽減されていますが、本編ではしばしば煩わしさとして挙げられます。
  • 収録楽曲の変更。ライセンス切れに伴い、ラジオ局の曲目が初期リリース時から入れ替わっていると報告されることがあります。特定の曲を目当てにしている場合は、事前に現在の収録内容を確認しておいた方が安全です。

日本語対応について

このパッケージの対応言語は、英語・フランス語・イタリア語・ドイツ語・スペイン語(スペイン)です。日本語は含まれていません。

これは本作を検討するうえで最も重要な確認事項です。GTA IV は本編だけで数十時間、エピソードを含めればさらに長く、しかもその大半が会話とストーリーで構成されています。カットシーンだけでなく、車での移動中に助手席の相手と延々と喋る、といった場面が非常に多く、そこに日本語の情報は一切ありません。英語の字幕を読みながら運転する場面も出てくるため、英語のリスニング/リーディングにある程度慣れていないと、本作の中心的な価値であるストーリーがほぼ届かないと考えてください。

逆に言えば、英語で問題ない人にとっては、これは「英語ボイスの長編ドラマを字幕付きで数十時間ぶん遊べる」ということでもあります。話し言葉のスラングは多めですが、字幕表示は用意されています。

こんな人におすすめ

  • 重いトーンの犯罪ドラマを腰を据えて追いたい人。 シリーズの中でも群を抜いて陰鬱で、コメディ寄りの GTA を期待していない人ほど刺さります。
  • 街を歩き回ること自体が楽しい人。 目的地に行く途中で寄り道して終わってしまうタイプの人には、本作の密度は理想的です。
  • エピソードまで含めて 1 本で長く遊びたい人。 3 部構成なので、1 つのゲームに長時間を投じる前提の人と相性が良いです。
  • 古い PC・非力なノート PC で動く大作を探している人。 最低動作環境の低さは現代では大きな利点です。
  • 英語のまま物語を楽しめる人。 前述のとおり、ここが実質的な前提条件になります。

注意点・向かない人

日本語が必要な人には向きません。 繰り返しになりますが、対応言語に日本語は含まれていません。ストーリー主導のゲームでこれは致命的になり得ます。

GTA V や現代のオープンワールドのテンポを期待している人には向きません。 移動が長く、ミッション失敗時のやり直しで同じ道をもう一度走らされる場面もあります。近年の作品にあるチェックポイントの細かさや快適化は前提にできません。

運転の手触りが合わない人は序盤で脱落します。 車の慣性が強く、思ったラインで曲がれないことが最初はストレスになります。数時間で慣れる人が多い一方、最後まで合わないという声も一定数あります。購入前に運転映像を少し見ておくと判断しやすいでしょう。

PC 版の技術的な粗さを許容できない人には勧めません。 2008 年設計のエンジンをそのまま動かしているため、現代基準では設定項目も挙動も洗練されていません。高リフレッシュレート環境や特殊な解像度では、追加の調整が必要になる場合があります。

暴力・薬物・差別的な言動を含む描写が全編にわたって出てきます。 表現をぼかす作りではないため、そうした題材が苦手な人は避けてください。

最後に、ストアページの登録情報(収録内容、対応言語、収録楽曲)は改訂されることがあります。特に楽曲とエピソードの収録範囲は、購入前にストアページの現在の記載とスクリーンショットで確認しておくと確実です。

序盤の進め方

最初の数時間は、ロマンのタクシー会社を手伝いながら街の東側で小さな仕事をこなす流れになります。ここで焦って先へ進めようとせず、次の 3 点だけ意識すると後が楽になります。

  1. ロマンとの友情を早めに上げておく。 一定まで上げるとタクシーによる無料ファストトラベルが解放され、移動の負担が大きく下がります。本編で最初に取りに行く価値がある特典です。

  2. セーフハウスを見つけたらすぐ利用する。 セーブはセーフハウスのベッドで行います。長いミッションの前後で必ず寄る癖をつけてください。

  3. エイム設定を最初に見直す。 ロックオンの強さと感度は設定から変更できます。デフォルトが合わないと感じたら、戦闘が本格化する前に調整しておく方が確実です。

エピソード 2 本は本編とは別のセーブ枠で始まるため、本編の途中で切り替えても進行は失われません。本編に疲れたら The Ballad of Gay Tony を挟む、という遊び方も現実的です。