ロジクールの「G105」は、ゲーミングキーボードというカテゴリの入口に立つ製品です。この記事では、Amazon に集まった 586 件のレビュー(平均 4.0/5、好評率にして約 80%)と公開スペックをもとに、2012 年頃に登場したこのロングセラーが今も選ぶ価値のある一台なのか、どこで割り切りが必要なのかを整理します。

概要

G105 は USB 有線接続・メンブレン方式のフルサイズゲーミングキーボードです。プログラム可能な G キーを 6 個、輝度調整対応の LED バックライト、最大 5 キーの同時押し(キーロールオーバー)、誤操作を防ぐゲームモードスイッチを備え、保証期間は 3 年。結論から言えば、「メカニカルの打鍵感」ではなく「マクロと視認性」を安く手に入れたい人向けの製品です。

価格は 2026 年 6 月 3 日取得時点で Amazon にて ¥6,764。ゲーミングキーボードとしては最下層に近い価格帯ですが、同価格帯には近年ゲーミングメンブレンや廉価メカニカルも増えているため、「安いから無条件で買い」という時代ではなくなっている点は先に述べておきます。なお価格はセールや在庫状況で変動するため、購入前に必ず商品ページで最新の価格を確認してください。

レビュー平均が 4.0 という数字は、エントリー機としては素直な評価です。星 5 一色ではないということは、価格なりの妥協点が確実に存在し、それを許容できるかどうかで満足度が割れているということでもあります。以下ではその妥協点を具体的に掘り下げます。

互換性ガイド

接続は USB 有線の一択で、無線・Bluetooth には対応しません。ドライバレスの HID キーボードとして動作するため、Windows PC に挿せば通常のキー入力はそのまま使えます。ただし 6 つの G キーへのマクロ割り当てとバックライト輝度の細かい制御には、Logitech Gaming Software(LGS)が必要です。ここが最大の実用上の注意点で、LGS は Logitech の旧世代ソフトウェアであり、新しい G HUB とは対応製品の世代が分かれます。導入前に、自分の OS バージョンで動作するソフトが提供されているかをメーカーの製品ページで確認しておくのが安全です。

家庭用ゲーム機での利用については、USB キーボード入力を受け付ける機種であればチャット入力などの基本操作は使えますが、G キーのマクロや専用機能は本体側ソフトが動かないため機能しません。「コンソールでもマクロが使える」と期待して買うと確実に失敗します。コンソールでの動作可否はゲーム側の実装にも依存するため、目安として捉えてください。

物理面では、テンキーを含むフルサイズ配列である点を見落としがちです。マウスを大きく振る低感度の FPS プレイヤーだと、机の横幅次第では窮屈になります。テンキーレス(TKL)が主流の今、同じ予算で TKL を選ぶという選択肢は常に比較対象に入れるべきです。角度調節用のチルトスタンドは備えていますが、パームレストは付属しないため、長時間タイピングする人は別途用意することになります。

5 キーロールオーバーで足りるのか

スペック表の「キーロールオーバー:5(最大)」は、同時に押しても正しく認識されるキーが 5 個までという意味です。実際のゲーム操作でこれが問題になるかは、ジャンルで大きく変わります。

プレイスタイル 5 キーロールオーバーで足りるか 補足
FPS / TPS(WASD+しゃがみ+リロード) ほぼ問題なし 修飾キーを多用する設定だと稀に取りこぼす
MMO / MOBA(多数のスキル) 概ね問題なし 同時押しより連打が主体のため
音ゲー・多重同時押し系 不足しやすい Nキーロールオーバー機を推奨
格闘ゲーム(キーボード操作) 場面による 方向+複数ボタンで上限に触れる場合あり

表のとおり、一般的なゲーム操作では 5 キーで実害が出る場面は多くありません。逆に言えば、同時押しが本質的に多いジャンルをメインにしているなら、この時点で候補から外れます。

商品情報

スペックを整理すると、キーロールオーバーは最大 5、プログラム可能な G キーは 6、バックライトは輝度調整が可能な LED、保証期間は 3 年です。3 年保証はこの価格帯では手厚い部類で、メーカーのサポート体制を含めて考えると、初めてゲーミング周辺機器を買う人にとっては安心材料になります。

付属品はキーボード本体、USB ケーブル(本体直付け)、クイックスタートガイドという構成で、余計なものは入っていません。キーキャップ引き抜き工具や交換キーキャップといった、メカニカル機で当たり前になっているアクセサリはありません。メンブレン方式のためキースイッチ交換(ホットスワップ)にも当然対応しません。

価格については前述のとおり 2026 年 6 月 3 日取得時点で ¥6,764 です。発売から年数が経った製品は流通在庫の状況で価格が上下しやすく、時期によっては新製品より割高になっていることすらあります。購入時点の実売価格を必ず確認し、同じ予算で買える現行モデルと並べて比較してください。

実際の使用感と、メンブレンという選択

メンブレン方式は、ゴムドームの反発でキーを押し戻す構造です。押下の途中で「これ以上押しても入力は変わらない」領域が長く、底打ちしてから戻るまでにわずかな粘りがあります。メカニカルの、押し込む途中でスコンと入力が確定する感触とは別物だと考えてください。

この構造には利点もあります。まず打鍵音が静かで、通話しながらプレイする環境やマイクが口元に近い配信環境では、青軸系のメカニカルより明確に有利です。次に、キー同士の隙間からの粉塵の侵入がメカニカルより緩やかで、掃除の手間が比較的軽くなります。そして単純に軽い。持ち運びや模様替えが多い人には現実的な長所です。

一方で、メンブレンは経年でゴムドームがへたり、押下感が重く・鈍くなっていく傾向があります。毎日長時間叩く用途で数年使うことを前提にするなら、この点は価格差以上のコストとして計算に入れておくべきです。「安く済ませたい」と「長く使いたい」は、この製品では両立しにくい要求です。

競合と比べてどう選ぶか

同じ「安価なゲーミングメンブレン」というくくりでは、Razer Ornata V3 系のようなメカメンブレン(メンブレンの静かさにメカニカル寄りのクリック感を足した方式)が近年の対抗馬になります。打鍵感を少しでもメカニカルに寄せたいなら、そちらの試打を勧めます。

予算をもう一段積める場合は、Ducky Origin のような Cherry MX 搭載機や、Keychron K4 Pro / Q1 V2 のようなカスタム志向のメカニカルが視野に入ります。これらは打鍵感・耐久性・キーキャップ交換の自由度で明確に上ですが、価格は数倍になります。G105 の立ち位置は「最小の出費でマクロとバックライトを揃える」ことであり、打鍵感で上位機と勝負する製品ではありません。この線引きを理解して買えば失望しません。

おすすめユーザー

  • 初めてゲーミングキーボードを買う人:G キーやゲームモードといった機能を、失敗しても痛くない金額で一通り体験できます。ここで「マクロは自分に必要だった/不要だった」が分かれば、次の買い物の精度が上がります。
  • 予算内でマクロキーが欲しい人:6 個の G キーに定型操作を割り当てられます。MMO の定型チャット、クラフト操作、配信ソフトのショートカットなど、ゲーム以外の用途でも効きます。
  • 打鍵音を抑えたい人:ボイスチャットや配信でマイクが近い環境では、メンブレンの静音性が実利になります。
  • 暗い部屋で使う人:LED バックライトは輝度調整が可能なので、就寝前の暗い環境でも眩しすぎない明るさに落とせます。
  • サブ機・共用機を探している人:3 年保証と低価格の組み合わせは、家族共用 PC や 2 台目に向きます。

購入前の注意点

最大の注意点は、これがメンブレンであってメカニカルではないことです。 「ゲーミングキーボード」という言葉からカチカチとした打鍵感を連想して購入すると、ほぼ確実に落胆します。レビュー平均が星 5 ではなく 4.0 に落ち着いている理由の一つはここにあると考えられます。打鍵感を最優先するなら、価格が上がっても最初からメカニカルを選ぶべきです。

マクロ機能はソフトウェアに依存します。 G キーは LGS が入っていない環境ではただのキーとして扱われるか、機能しません。会社の PC でソフトを入れられない、Mac や Linux をメインにしている、といったケースでは G キーの価値がほぼゼロになります。買う前に「自分の環境に設定ソフトを入れられるか」を確認してください。

発売から年数が経った製品であることも織り込むべきです。 2012 年頃の設計であり、現在主流の高ポーリングレート、ラピッドトリガー、ホットスワップ、無線接続といった機能は一切ありません。それらが不要なら問題ありませんが、「今の標準」を期待して買うと差を感じます。加えて、古い製品は流通在庫が中心になるため、状態や価格のばらつきが出やすい点にも注意が必要です。

フルサイズであることを見落とさないでください。 デスクが狭い、あるいはマウスを大きく動かす人にとって、テンキー分の横幅は毎日効いてくる不満になります。購入前に設置スペースの実寸を測ることを勧めます。

最後に、通販サイト側の情報について。商品ページの登録情報(メーカー名・型番・対応機種など)は、まれに別商品のものが混ざっていたり、販売元によって表記が食い違っていたりします。価格表示も、同一ページ内で並行輸入品や中古と混在していることがあります。掲載情報を鵜呑みにせず、商品画像とタイトル、販売元をあわせて確認し、対象が G105 本体であることを確かめてから注文してください。

よくある質問

Q. G105 はメカニカルキーボードですか?
A. いいえ、メンブレン方式です。静かで軽い代わりに、メカニカル特有のクリック感や打鍵の確定感はありません。ここが最も誤解されやすい点です。

Q. マクロを使うのにソフトは必須ですか?
A. G キーへの割り当てには Logitech Gaming Software が必要です。ソフトを入れられない環境では G キーの利点を活かせません。対応 OS はメーカーの製品ページで確認してください。

Q. PS5 や Xbox で使えますか?
A. USB キーボード入力を受け付ける機種であれば、文字入力などの基本操作は使える見込みです。ただし G キーのマクロは動作しません。動作可否は本体・ゲーム側の実装に依存するため、目安として考えてください。

Q. 5 キーロールオーバーで足りますか?
A. FPS や MMO の一般的な操作なら実用上ほぼ問題ありません。多重同時押しが前提の音ゲーなどでは不足する可能性があるため、N キーロールオーバー対応機を検討してください。

Q. レビュー評価はどれくらいですか?
A. 2026 年 6 月 3 日取得時点で Amazon のレビュー 586 件、平均 4.0/5(100 点換算で約 80 点)です。エントリー機として妥当な評価で、不満点はおおむね打鍵感に集中していると読み取れます。

Q. 保証はどうなっていますか?
A. メーカー標準で 3 年です。この価格帯としては長く、初めての一台としての安心材料になります。

商品情報

(Amazon参照)

  • メーカー名: Logicool(ロジクール)
  • ASIN: B00B7XC7NW
  • 注記: 本記事はメーカー製造品をAmazon掲載情報に基づいて紹介しています。