『Nine Sols』は、手描きの2Dグラフィックで描かれるアクションプラットフォーマーです。メトロイドヴァニア特有の探索と、『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』から着想を得たパリィ(弾き)重視の戦闘が融合しています。プレイヤーは復讐を誓う主人公「Yi(イー)」となり、かつて古代異星人が住んでいたとされるアジアファンタジーの世界を旅します。開発は台湾の Red Candle Games、発売は2024年5月28日(日本時間)です。

ゲーム概要

物語の舞台は、長きにわたり静寂に包まれてきた「新崑崙(ニュークンルン)」。ここは「ソラリアン」と呼ばれる種族の最後の聖域でした。古代の神々が約束したとされるこの地には、未知の真実が隠されています。プレイヤーはこの見捨てられた領域を支配する強大な「9つの太陽(9 Sols)」を討伐するため、復讐の旅に出ることになります。

実際のプレイの流れは、拠点から新しい区画へ出て、道中の敵で弾きのリズムを取り戻し、セーブポイントを繋ぎ直しながらボス部屋へ到達する、という往復の繰り返しです。ボスに敗れたら拠点に戻り、装備や能力の構成を組み替えて再挑戦します。探索そのものより、ボス1体ごとの攻略に時間の大半を使うタイプの構成だと考えてください。

特徴・システム

戦闘の核心は、敵の攻撃を見極めてタイミングよく弾き、反撃の隙を作ることにあります。ただし本作は「弾いて終わり」ではありません。弾きに成功すると敵に符(お札)が貼り付き、それを起爆することで大きなダメージを与えられます。つまり守りの行動がそのまま火力に直結する設計で、回避に徹して安全にダメージを稼ぐスタイルは成立しにくくなっています。

さらに、赤く光る攻撃は通常の弾きが通用せず、専用の対応行動を要求されます。これによって「とりあえず全部弾く」という思考停止が封じられ、敵ごとに攻撃の色と間合いを覚え直す必要が出てきます。加えて、能力をカスタマイズする強化要素があり、体力寄り・火力寄り・弾き猶予寄りといった方向づけが可能です。行き詰まったときは腕を上げる前に構成を見直すのが有効です。

探索と成長の流れ

マップは典型的なメトロイドヴァニア構造で、移動能力を得ることで過去に通れなかった道が開きます。ただし探索の比重は『メトロイドヴァニア』を名乗る作品の中では控えめで、隠し部屋は主に強化素材と物語の断片が置かれています。マップの空白を埋めること自体が目的化しにくいぶん、寄り道の見返りは「次のボスが少し楽になる」という実利的なものになりがちです。

世界観の断片は、拠点の住人との会話や各所のテキストで少しずつ明かされます。SF的な設定と東洋的な意匠が同居する独特の空気があり、物語を追う動機は最後まで維持されやすい構成です。

動作環境の目安

Steam で公開されている動作環境は次のとおりです。手描き2Dであるため、要求は現行のPCゲームとしてはかなり軽い部類に入ります。

項目 最低 推奨
OS Windows 10 64bit Windows 10 64bit
CPU AMD Athlon X4 / Intel Core i5 4460 AMD Ryzen 3 / Intel i5 Skylake
GPU NVIDIA GTX 950 / AMD R7 370 NVIDIA GTX 970 / AMD RX 570
メモリ 8 GB 8 GB
ストレージ 15 GB 15 GB
DirectX Version 11 Version 11

注目すべきは、最低と推奨でメモリ(8 GB)とストレージ(15 GB)が同じで、差が付いているのが CPU と GPU だけという点です。つまりメモリ8GBのPCでも足切りはされず、ボトルネックになるとすれば描画側だと読み取れます。GTX 950 世代がラインなので、内蔵GPUでも比較的新しい世代なら動作する可能性はありますが、保証された構成ではないため過度な期待は禁物です。

もう一つ重要なのは、本作が「動くかどうか」より「フレームレートが安定するかどうか」で快適さが決まるゲームだという点です。弾きは数フレーム単位の入力なので、カクつきはそのまま被弾に直結します。設定を下げてでも常時安定した描画を維持するほうが、解像度やエフェクトを盛るより体感的な難易度が下がります。ノートPCなら電源設定とサーマルスロットリングにも注意してください。

入力面では、フルコントローラーサポートがあります。弾きの入力精度を考えると、無線より有線接続、あるいは遅延の少ない環境を用意したほうが有利です。ディスプレイ側の低遅延モードも効きます。

評価・レビュー傾向

発売以降、長期にわたって高い評価を保っている作品です。称賛されやすいのは、弾きが決まったときの手応え、ボス戦の構成の丁寧さ、そして美術と物語の完成度です。特に「戦闘の型を覚えてから体が動くようになるまで」の学習曲線の設計を評価する声が目立ちます。

一方で低評価側で挙がりやすいのは、難易度の高さと、その難易度が特定の一体のボスに集中して現れる点です。順調に進んでいたのに一箇所で数時間止まる、という体験は珍しくありません。また「メトロイドヴァニアを期待したら実質はボスラッシュ寄りだった」という期待値のずれも、否定的な感想の典型です。プラットフォーム動作やコントローラー周りの不具合報告も一定数見られますが、こうした点は環境依存が大きいため、購入前に自分の構成での報告を確認しておくと安心です。

こんな人におすすめ

  • 『SEKIRO』の弾き主体の戦闘が肌に合い、2Dでもう一度あの感覚を味わいたい人
  • ボスの攻撃パターンを覚え、失敗を繰り返して上達していく過程そのものを楽しめる人
  • 手描きの2D美術と、東洋的な意匠とSFが混ざった世界観に惹かれる人
  • 高価なPCを持っていないが、歯ごたえのあるアクションを遊びたい人

注意点・向かない人

最大の注意点は、本作が「回避で逃げ切る」プレイを許さない設計だという点です。弾きが火力の源である以上、前に出続けることを要求されます。ソウルライクの中でもローリング回避を主体に立ち回ってきた人ほど、序盤で戸惑いやすい構造です。

次に、探索比率の低さです。マップを塗りつぶす楽しさ、隠し通路探しの喜びを最重視する人にとっては、物足りなく感じる可能性があります。本作の時間の使いどころはあくまでボス戦であり、そこに楽しさを見出せないと苦行になります。

また、短い時間で区切って遊びたい人にも向きません。ボス戦は感覚を取り戻すまでの助走が必要で、15分だけ触って進捗を得る、という遊び方が成立しにくいためです。まとまった時間を確保できるときにこそ伸びるタイプの作品です。

難易度に不安がある場合は、購入前に設定項目を確認しておくとよいでしょう。作品によっては後日のアップデートで難易度緩和の選択肢が追加されていることがあるため、最新の内容は製品ページで確認してください。同様に、日本語対応の有無や対応言語も製品ページの記載が最も確実です。

ストレージは15GBと軽量なので、まず試してみて合わなければ短時間で判断する、という入り方もしやすい構成です。ただし「難しいゲームは苦手だが評判がよいから」という理由だけで選ぶのは、あまりおすすめしません。本作の魅力は難しさの向こう側にあり、その手前で止まると何も残らないためです。

序盤でつまずかないために

序盤で意識すべきは、攻撃ボタンを押す回数を減らすことです。弾きの猶予を確保するには、こちらの手が空いている時間が必要になります。1回の反撃で欲張らず、確実に符を貼って起爆する、という短いサイクルを守るほうが結果的に速く倒せます。

また、赤い攻撃への対応は早い段階で練習しておくべきです。ここを避けて進むと、中盤以降のボスで対処法を持たないまま壁にぶつかります。雑魚敵で反射的に出せるようになってからボス部屋に入ると、体感難易度は大きく下がります。