概要
ALSEYE M120D Plus は、6本の銅製ヒートパイプとデュアル 120mm PWM/ARGB ファンを組み合わせた、Intel LGA1700 対応のホワイト仕様 CPU 空冷クーラーです。最大の特徴は、ヒートシンク上部に温度表示を備えている点で、サイドパネルから覗いたときに数値が読めるという「見せるビルド」寄りの設計思想を持っています。Amazon.co.jp のレビューは 2026年6月時点で 11 件・5つ星のうち 4.4(好評率としては約 88%)で、評価は高いものの母数が少ない、いわゆる新しめ・少数評価の製品です。
結論から書くと、この製品は「白基調のミドルタワー ATX ケースで、ミドルクラスの CPU を静かめに冷やしつつ、光り物と温度表示で見栄えを作りたい人」に向いた製品です。逆に、ハイエンド CPU を長時間フルロードで回す人、スリムケースや Mini-ITX で高さ制限が厳しい人には第一候補になりません。理由は後述の「購入前の注意点」で具体的に書きます。
温度表示は何を表示しているのか
この手の温度表示付きクーラーで最初に誤解されやすいのが、「表示されている数値=CPU コア温度」だと思ってしまうことです。多くの製品では、表示部は CPU パッケージのコア温度そのものではなく、クーラー側のセンサーが拾った値(ヒートシンク近傍やベース付近の温度)を示します。したがって、HWiNFO や Ryzen Master、Core Temp などのソフトウェアが表示する Tctl/Tjunction とは数値がずれるのが普通です。
実運用では「表示の絶対値を信じる」のではなく、「いつもよりアイドル時の表示が高い=グリスが劣化した/ファンが止まっている/ケース内エアフローが詰まっている」という変化の検知に使うのが正しい距離感です。正確な温度管理をしたいなら、モニタリングソフトを併用してください。表示は便利なインジケーターであって、計測器ではありません。この考え方さえ押さえておけば、温度表示付きクーラーはかなり実用的です。
また、表示部の向きにも注意が必要です。CPU クーラーはマザーボードへの取り付け方向によって上下が変わるため、ケースによっては数字が横倒し・逆さまに見えることがあります。購入前に、自分のケースが縦置きのサイドパネル窓なのか、上から覗くタイプなのかを確認しておくと後悔が減ります。
互換性ガイド
製品名が明示している対応ソケットは Intel LGA1700 です。LGA1700 は第12〜14世代 Core(Alder Lake/Raptor Lake およびそのリフレッシュ)で使われるソケットで、Z690/B660/H610/Z790/B760 といったチップセットのマザーボードが該当します。AMD の AM4/AM5 や、Intel の新しい LGA1851 で使えるかどうかは、同梱される取り付け金具次第です。販売ページの対応ソケット一覧を必ず確認してください。「LGA1700 対応」と書かれた製品が、必ずしも他ソケットのブラケットを同梱しているとは限りません。
空冷クーラーで実際に失敗が多いのは、ソケットよりも次の3点です。
- ケースの CPU クーラー高さ制限 — デュアルファンのタワー型は、ミドルタワーなら大抵入りますが、スリム型やキューブ型では蓋が閉まりません。ケースのスペック表にある「CPUクーラー最大高さ(mm)」と、クーラー本体の高さを突き合わせてください。
- メモリとの干渉 — 前面側(吸気側)のファンがメモリスロットに被る構造の場合、ヒートスプレッダの高い RGB メモリだとファンを上へずらす必要があり、その分だけ全体の高さが増えます。背の高いメモリを使う予定があるなら、ロープロファイル品を選ぶか、ファン位置の調整代があるかを確認しましょう。
- VRM ヒートシンク・M.2 ヒートシンクとの干渉 — ハイエンド系マザーボードは CPU ソケット周辺の造形が大きく、ベースプレートやヒートパイプが当たることがあります。
ファン制御については、PWM 対応なので 4ピン CPU_FAN/CPU_OPT ヘッダーに接続すればマザーボード側から回転数制御ができます。ARGB については 5V 3ピン(+5V/Data/未使用/GND)の ARGB ヘッダーが必要です。**12V 4ピンの RGB ヘッダーに挿すと LED やコントローラーを壊す可能性があります。**ここは初心者が最もやりがちな事故なので、ヘッダーのピン配置とシルク印刷(ARGB/ADD_HEADER などの表記)を必ず確認してください。ARGB ヘッダーが無いマザーボードの場合は、付属または別売のコントローラー経由で光らせることになります。
商品情報
2026年6月12日取得時点で、Amazon.co.jp での価格は ¥9,788 でした。価格はセールや在庫状況で頻繁に変動するため、購入時は必ず商品ページで最新の価格を確認してください。eBay などのマーケットプレイスは検索結果表示のみで、確定価格ではありません。
¥9,788 という価格帯は、空冷 CPU クーラーとしては「入門〜ミドルの上限あたり」です。同じ予算帯には、デュアルタワー・デュアルファンの定番モデルや、120mm クラスの簡易水冷が視野に入ります。つまりこの製品は、冷却性能だけで勝負する価格帯ではなく、「白いデュアルファン+ARGB+温度表示」という組み合わせに価値を感じられるかどうかで評価が分かれる製品です。純粋な冷却効率とコストパフォーマンスだけを追うなら、同価格帯にはより実績のある選択肢があります。
なお、この記事のデータ収集時点で、仕様欄に M.2 SSD ケース(USB 3.2 Gen 2、対応サイズ 2230〜2280 など)の項目が混入していました。これらは本製品の仕様ではありません。本文では採用していませんが、商品ページ側でも同種の登録ミスが残っている可能性があるため、寸法・重量・対応ソケットといった数値は、必ずメーカー公式または商品ページの画像で裏を取ってください。
レビュー評価の読み方
2026年6月時点で、レビューは 11 件・平均 4.4(5点満点)です。数値だけ見れば良好ですが、11 件という母数は統計的にはかなり小さく、1〜2 件の低評価で平均が大きく動きます。初期不良率や長期耐久性を判断する材料としては不十分だと考えるべきです。
少数レビュー製品を買うときの現実的な対処は、(1) 到着後すぐに取り付けて動作確認する、(2) ファンの片方が回らない・LED が一部点かないといった初期不良を返品期間内に洗い出す、(3) 温度表示が動作するかを最初に確認する、の3点です。特に電子部品を持つ表示付きクーラーは、無表示・表示欠けといった不具合が起こり得ます。開封してすぐ組み込んでしまうと、返品可否の判断が遅れます。
おすすめユーザー
白いパーツで統一したビルドを組んでいて、CPU クーラーだけ黒くて浮いている人には、まさに狙い目の製品です。白のデュアルファン空冷は選択肢自体が多くなく、そこに ARGB と温度表示が付いて 1万円前後というのは、見た目重視の構成では十分に価値があります。
Core i5 クラス(あるいは同等の TDP 帯)をメインに使うゲーミング PC にも合います。この層は空冷で十分に冷やせるうえ、簡易水冷のようにポンプ寿命や液漏れを気にする必要がありません。メンテナンス性という点では、空冷のほうが長期的に安心です。
簡易水冷のポンプ音が苦手な人、PC を数年単位で長く使いたい人にも空冷は向きます。可動部がファンだけなので、劣化したらファンだけ交換すれば延命できます。
逆に、Core i9 クラスを長時間 100% で回すエンコード用途、Mini-ITX や高さ制限のあるケース、光らせる予定がまったく無い人には、この製品の強みが活きません。後者の場合、同じ予算で非 RGB の高性能モデルを選んだほうが冷却性能で得をします。
購入前の注意点
1. 「6ヒートパイプ・デュアルファン」=ハイエンド対応、ではありません。 ヒートパイプの本数はスペックの一部でしかなく、実際の冷却性能はフィン面積、ベースの平面度、ヒートパイプとベースの接合方式、ファンの静圧で決まります。同じ6本でも製品ごとに性能差は大きく出ます。対応 TDP の記載がある場合はそれを確認し、無い場合は「i5/Ryzen 5 クラスまでを安心圏、それ以上はケース内エアフロー次第」と考えておくのが安全です。
2. 高さとメモリ干渉を先に測る。 空冷で最も多いトラブルは「性能不足」ではなく「物理的に入らなかった」です。ケースの CPU クーラー最大高さ、メモリのヒートスプレッダ高さ、そして裏配線スペースを事前に確認してください。特にサイドパネルがガラスのケースは、ガラスとファンが数ミリで干渉することがあります。
3. ARGB ヘッダーの規格を間違えない。 前述のとおり 5V 3ピンと 12V 4ピンは互換性がありません。刺さってしまう形状のものもあるため、必ずマザーボードのマニュアルを見てから接続してください。
4. 商品ページの登録情報が誤っていることがあります。 この記事のデータ収集時点でも、本製品とは無関係な M.2 SSD ケースの仕様が仕様欄に混入していました。同様に、メーカー名・型番・ASIN のいずれかが別商品のものになっているケースは珍しくありません。**商品ページを開いたら、テキストの登録情報だけで判断せず、商品画像とタイトルで対象製品を確認してください。**特に「対応ソケット」「本体高さ」「ファンサイズ」は、間違えると取り付けられないため、画像内のスペック表やメーカー公式情報で裏取りする価値があります。
5. グリスとバックプレートの確認。 付属グリスの品質は製品ごとに差があり、こだわるなら別途 1,000 円前後のグリスを用意すると温度が数℃改善することがあります。また LGA1700 はマザーボード側に標準バックプレートがあり、これを使う方式か専用バックプレートに交換する方式かで取り付け手順が変わります。マザーボードをケースに組み込む前に取り付けるほうが圧倒的に楽です。
6. 静音性は「ファン次第」。 デュアルファンは低回転でも風量を稼げるため静音方向に有利ですが、最大回転時の音は製品によります。静かに使いたい場合は、BIOS/UEFI のファンカーブで、60℃付近までは 50〜60% 程度に抑える設定にすると体感が大きく変わります。
よくある質問
Q. LGA1851(Core Ultra 200S)や AM5 でも使えますか?
A. 製品名で明示されているのは LGA1700 です。付属ブラケット次第なので、商品ページの対応ソケット一覧を確認してください。記載が無ければ非対応と考えるのが安全です。
Q. 温度表示の値がソフトの数値と違います。故障ですか?
A. 多くの場合は正常です。表示部はクーラー側センサーの値で、CPU コア温度(Tjunction)とは測定点が異なるためズレます。異常判定には数値の絶対値ではなく、普段との差を見てください。
Q. ARGB を光らせないで使えますか?
A. ARGB コネクタを接続しなければ、ファン自体は PWM 4ピンだけで通常動作します。光を消したい場合は接続しない、またはマザーボードのライティングソフトで消灯設定にしてください。
Q. 簡易水冷(AIO)とどちらが良いですか?
A. i5/Ryzen 5 クラスまでなら空冷で十分で、ポンプ故障のリスクが無い分こちらが有利です。i9 クラスの長時間全負荷や、CPU 周りの熱をケース外に直接逃がしたい場合は 240mm 以上の AIO が有利です。
Q. レビュー 11 件は少なくないですか?
A. 少ないです。2026年6月時点で平均 4.4 と評価自体は良好ですが、母数が小さいため長期耐久性の判断材料にはなりません。到着後すぐ動作確認し、返品期間内に初期不良を洗い出すことをおすすめします。
商品情報
(Amazon参照)
- ASIN: B0F37YB2N6
- 注記: 本記事はメーカー製造品をAmazon掲載情報に基づいて紹介しています。



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