AGPtek External USB2.0 FAX MODEM は、アナログ電話回線を使って PC から FAX を送受信するための外付けモデムです。この記事では、チップセットや対応 OS といった基本仕様に加えて、「自分の回線で本当に使えるのか」「Windows 11 でも動くのか」「どこで妥協することになるのか」まで踏み込んで整理します。
概要
本製品は Conexant CX93010 を採用した USB 接続型のアナログモデムで、V.92 / V.90 に対応し、データ通信時の最大速度は 56kbps です。単体で通信する機器ではなく、PC に接続して FAX ソフトから使うことを前提にした「PC を FAX 機に変える」タイプの周辺機器だと考えてください。専用の FAX 複合機を置く場所も予算もないが、年に数回どうしても FAX が必要になる、という用途に照準が合っています。
結論から言えば、向いているのは「アナログ回線(またはアナログ相当の回線)が現に手元にあり、送受信の頻度が低く、Windows 側の環境を自分で調整できる人」です。逆に、FAX を業務で毎日大量に扱う人、回線が IP 電話や光電話しかない人、ドライバの導入でつまずきたくない人には勧めません。Amazon.co.jp のレビューは 582 件で 5 段階中 3.6(好評率にすると約 72%)と、価格帯なりに評価が割れている製品でもあります。この点は後述の「購入前の注意点」で詳しく扱います。
本体は IN / OUT の RJ11 ポートを 2 基備えたデュアルポート構成です。壁のモジュラージャックから来た回線を IN に、手持ちの電話機を OUT につなぐことで、FAX を使っていないときは電話機をそのまま利用できます。分岐アダプタを別途買わずに済むのは、地味ですが日常的に効いてくる利点です。筐体はブラックでコンパクトなため、デスク上でもケーブルボックスの中でも収まりが良い部類に入ります。
互換性ガイド
まず最初に確認すべきなのは OS ではなく回線です。この製品はアナログ電話回線(PSTN)用のモデムであり、光回線のインターネット接続に直接つなぐものではありません。壁のモジュラージャックに RJ11 で接続し、その先が交換機まで届いていることが前提になります。
| 確認項目 | 仕様・条件 |
|---|---|
| インターフェース | USB 2.0(USB 1.1 互換、USB 3.x ポートでも下位互換で接続可) |
| 回線 | アナログ電話回線(PSTN)、RJ11 |
| ポート | 2 系統(IN = 回線側 / OUT = 電話機側) |
| チップセット | Conexant CX93010 |
| 対応規格 | V.92 / V.90 |
| 最大データ速度 | 56 kbps |
| 公称対応 OS | Windows 7 / Vista / XP |
表の通り、メーカーが公称している対応 OS は Windows 7 / Vista / XP です。Windows 10 や 11 で使えるかどうかは、OS が標準で持っている汎用モデムドライバを掴めるかどうかにかかっており、環境によって結果が変わります。うまく認識されればデバイスマネージャーに「モデム」として現れ、Windows 標準の「Windows FAX とスキャン」からそのまま送受信できることもありますが、これは保証された動作ではありません。最新環境が必須なら、購入前に販売ページの記載と自分の OS ビルドを照らし合わせ、動かなかった場合の返品条件まで確認しておくのが安全です。
IP 電話・ひかり電話での利用は、この種のアナログモデム全般につきまとう最大の落とし穴です。音声通話は問題なくても、FAX のような音響信号は VoIP の音声圧縮やパケットロスに弱く、送信途中でエラーになったり、速度がネゴシエーションできずに接続自体が失敗したりします。回避策としては、FAX ソフト側で通信速度を 14.4kbps や 9,600bps に落とす、エラー訂正(ECM)を切る、といった調整が定番ですが、確実に成功する保証はありません。ひかり電話でどうしても使いたい場合は、ダメだったときに諦められる金額かどうかで判断してください。
物理的な注意点として、USB ハブ経由よりも PC 本体のポートへの直挿しを推奨します。バスパワーで動作する小型機器は、電力供給の弱いハブや長い延長ケーブルの先で不安定になりやすいためです。ノート PC で Type-C ポートしかない場合は、変換アダプタが 1 つ追加で必要になります。
商品情報
2026年8月28日取得時点で、Amazon.co.jp における価格は ¥3,799 でした。FAX 複合機が数万円からであることを考えると、FAX 送受信機能だけを買い足す手段としては十分に安価な部類です。ただし価格は変動しますし、この種の製品は在庫状況によって出品者と金額が入れ替わりやすいため、実際の購入時は必ず商品ページで最新の価格を確認してください。なお参照データ上は海外向けの価格欄にも同じ円建て価格(¥3,799)が入っており、これは同一の日本向けページを参照した結果と見られます。海外価格の目安としては使えません。
レビューは 582 件で評価は 5 段階中 3.6、好評率に換算すると約 72%(2026年8月27日取得時点)です。500 件を超える件数がある一方で 3.6 という数字は、「用途に合った人には十分機能し、合わなかった人には全く使えなかった」という二極化を示唆します。この手の製品でレビューが割れる原因はほぼ決まっていて、OS の対応、回線の種類、そして FAX ソフトの導入で行き詰まるかどうかの 3 点です。裏を返せば、この 3 点を事前にクリアできていれば、評価の低い側に落ちる確率はかなり下げられます。
発売は 2013 年頃とされ、10 年以上流通している息の長い製品です。付属品は本体、ドライバディスク、RJ11 ケーブル、マニュアル。ドライバが CD 媒体で提供される点は、光学ドライブを持たない現行のノート PC では素直に困るところです(対処は後述します)。保証期間は販売元によって異なります。
競合・代替手段との比較
「PC から FAX を出したい」という目的に対して、選択肢はこの製品だけではありません。判断材料として、代表的な代替手段との違いを整理します。
- インターネット FAX サービス: 回線工事もハードも不要で、Windows のバージョンにも縛られません。ただし月額課金が発生し、送信枚数に応じた従量料金がかかることが一般的です。頻度が高いほど有利になります。
- FAX 複合機: 単体で完結し、紙原稿をそのまま送れるのが強み。設置場所と数万円の初期費用、そして消耗品コストがかかります。
- 本製品のような USB アナログモデム: 初期費用が数千円で済み、月額もかかりません。代わりに回線と OS の条件を自分で満たす必要があり、紙原稿は別途スキャナで取り込む前提になります。
つまりこの製品が最も有利になるのは、「アナログ回線をすでに維持していて、FAX の頻度が月に数回以下で、月額を払いたくない」という条件がそろったときです。逆に回線を FAX のためだけに維持しているなら、回線基本料と合わせて考えるとインターネット FAX のほうが安く済むケースが十分あります。
導入手順の目安
先に回線の種別(アナログか、ひかり電話等の IP 系か)を確認する。ここで IP 系だと分かった時点で、成否は運任せになります。
PC 本体の USB ポートに直接接続し、デバイスマネージャーで認識状態を確認する。
ドライバを導入する。付属は CD ですが、光学ドライブがない場合は外付けドライブを使うか、他の PC で CD の中身を USB メモリにコピーして持ち込むのが手早い方法です。
回線ケーブルを IN、電話機を OUT に接続する。ここを逆にすると通話も FAX も通りません。
FAX ソフト(Windows 標準の「Windows FAX とスキャン」や付属ソフト)で送信テストを行う。まずは自分で受け取れる宛先に 1 枚送ってみるのが確実です。
おすすめユーザー
- 自宅や小規模オフィスで、たまに FAX が必要になる方。役所や取引先から「FAX で送ってください」と言われる頻度が月に数回程度なら、複合機を置くよりこちらのほうが場所も費用も節約できます。
- ペーパーレス化を進めたい方。受信した FAX を PC 上で画像や PDF として保存でき、印刷・ファイリング・保管の手間がまとめて減ります。過去の受信内容を検索できるのは紙にない利点です。
- アナログ回線が現役で残っている環境の方。既存の回線資産を活かして FAX 機能だけを足せるため、追加の月額費用が発生しません。
- 1 本の回線を電話機と共用したい方。IN / OUT のデュアルポート構成により、分岐アダプタなしで電話機を通したまま運用できます。
- 多少のトラブルシューティングを自分でできる方。ドライバや通信速度の調整に抵抗がないなら、価格に対する満足度は高くなります。
購入前の注意点
ここが本製品で最も重要なパートです。安価な製品ですが、条件が合わないと一切使えないタイプの機器であり、そこを理解せずに買うと評価 3.6 の低い側に入ることになります。
1. 回線が最大の関門です。 光回線のみ、あるいはひかり電話・IP 電話しかない環境では、FAX が通らないことが珍しくありません。前述の通り速度低下設定などで改善する場合もありますが、確実ではありません。「PC に挿せば FAX が使える」機器ではなく、「アナログ回線があれば PC を FAX 機にできる」機器だと理解してください。
2. 対応 OS の表記は Windows 7 / Vista / XP です。 Windows 10 / 11 での動作はメーカーが保証している範囲外で、環境によって動く・動かないが分かれます。macOS や Linux での利用も想定されていません。現行環境で確実に使いたいなら、動かなかった場合にどうするか(返品するか、割り切って諦めるか)を先に決めておくべきです。
3. ドライバが CD 提供です。 光学ドライブのない PC では、それだけで導入が一段階増えます。外付けドライブか、別の PC 経由でのコピーを用意しておいてください。
4. FAX の通信速度はデータ通信の 56kbps とは別物です。 56kbps はあくまでデータ通信時の最大値で、FAX(G3)の実効速度はこれよりかなり低い水準が上限になるのが一般的です。「56kbps だから FAX が速い」という理解は誤りで、複数枚の送信にはそれなりの時間がかかると考えてください。
5. これはインターネット接続用の機器ではありません。 ダイヤルアップ接続そのものは規格上可能でも、現在それを提供する ISP はほぼ存在せず、実用的な用途とは言えません。
6. 商品ページの登録情報は鵜呑みにしないでください。 Amazon の商品ページは出品者によってメーカー名・型番・対応 OS の記載が異なることがあり、実際に別製品の情報が混在しているケースも見られます。購入前に商品画像と製品名で対象製品を確認し、記載されている対応 OS が自分の環境と合っているかを、レビュー本文も含めて確かめておくと失敗が減ります。
7. 出品者と価格が入れ替わりやすい製品です。 記事中の価格はあくまで取得時点のものです。同一 ASIN でも出品者が変われば付属品や保証条件が変わる可能性があるため、注文前に販売元の表示を確認してください。
商品情報
(Amazon参照)
- メーカー名: AGPTEK
- 販売元: nicewealth-jp
- 出荷元: Amazon
- ASIN: B008RZTJC0
- 注記: 本記事はメーカー製造品をAmazon掲載情報に基づいて紹介しています。
よくある質問
Q. Windows 11 で使えますか? A.
メーカーの公称対応 OS は Windows 7 / Vista / XP のため、保証された動作ではありません。OS 標準の汎用モデムドライバで認識されれば使える場合もありますが、環境依存です。動作しなかった場合を想定して購入判断してください。
Q. 光回線(ひかり電話)で FAX を送れますか?
A. 動作しないことがあります。VoIP は FAX の音響信号と相性が悪く、通信速度を落とす・ECM を無効にするなどの調整で改善する例はありますが、確実ではありません。アナログ回線での利用が本来の前提です。
Q. 電話機と回線を 1 本で共用できますか?
A. できます。IN に壁のモジュラージャックからの回線、OUT に電話機をつなぐデュアルポート構成です。逆に挿すと通じないので、向きだけは間違えないでください。
Q. これでインターネットに接続できますか?
A. 実用的ではありません。V.92 / V.90 対応のアナログモデムではありますが、ダイヤルアップ接続を提供する事業者は現在ほぼ存在せず、FAX 用途と割り切るべき製品です。
Q. 紙の書類はそのまま送れますか?
A. 送れません。スキャナや複合機、スマートフォンのスキャンアプリなどで PC に取り込んでから FAX ソフトで送信する流れになります。紙原稿を直接投入したい場合は FAX 複合機が適しています。
Q. FAX ソフトは別途必要ですか? A.
Windows には「Windows FAX とスキャン」が標準搭載されており、モデムが正しく認識されていればこれで送受信できます。付属ソフトを使う方法もありますが、いずれにせよモデムが OS 上でモデムとして認識されていることが前提です。





